気分を加算していくストレススコア
日が開いてしまいました。
どうにも夏は暑さが体力を奪っていくようです。
さて表題通りですが、TSSはトレーニングによるストレスを数値化したもので、精神的なストレスは数値化していません。
気分が乗っている時はいつまでも自転車をこぎ続けられると錯覚してしまう、あるいは、レース中に掛けられた声援は場合によっては感覚を麻痺させ、肉体にかけられたリミッターを外してくれる、それらはTSSを瞬間的に軽減、あるいは回復させていると考えることは出来ないでしょうか。
その逆もしかり、と私は考えています。
肉体的な疲労の他に、気分による疲労もある、ということです。
病は気から、なんてことを言いますが、内科に行って「心因性の疾患ですね」と言われる人も少なくないでしょう。
これ、ストレスが肉体にダメージを与えているということです。
長期スパンでトレーニング計画を立て、一ミリの妥協なくそれをこなそうと考えるも、天候や体調不良によって計画通り進まないこともあります。
「ロードバイクは日常のすべてがトレーニング」
とは、ロードレース会の名解説者(?)栗村修氏の言葉ですが、まったくもってその通りで、ここで言いたいのは「休息もまたトレーニング」ということなのです。
身体機能が向上するのはトレーニング中ではありません。
回復中なのです。
トレーニングで破壊された筋繊維は、就寝中などの休息時により強く再生します。
トレーニングとはこの繰り返し。
十分な休憩を取らないと、疲労により出力は低下します。
いわゆるオーバートレーニング状態を指します。
であれば、心の休息も必要ということになります。
では、心の休息とはいったい何を指すのか。単に練習をしないことなのか。
いや、何のためにトレーニングをするのかは人それぞれです。
だからどんな休息をとるのが効果的か、それは人それぞれというところだろう。
そろそろまとめよう。
ではTSSに換算する心のストレススコアはいくつになるのか。
まず仕事のストレスを数値化してみよう。
体感的な話になってしまうが、前回一日の仕事でTSSが240になってしまうことを書いた。
しかしこれが最大値だと私は思うのです。
心的に大きくストレスを感じた一日の仕事はTSS240。
もちろんこれは通勤も含めた、ということになる。
(電車通勤の方は、満員電車であればストレスだが、帰宅時は僅かでも寝られるということなら、差し引きはゼロとして考えてみました)
肉体と心の疲労、1日辺りTSS240。
そこから肉体のTSSを差し引くと、TSS100〜140ほど、ではないだろうか。
前回、心の疲労は抜きで考えていたが、肉体が疲労すれば心も疲労するものです。
とすれば、TSS240は三日で700を越える。
だがこれはあくまで仕事の「疲れ」であり、筋繊維を破壊するハードなトレーニングではない。
とすれば、就寝中に疲労の除去は可能。
プロ選手は4日を一つのサイクルとしてTSSを700稼ぎ、回復させる。
(3日トレーニング、1日が休息日という具合に)
アマチュアはプロほど超回復力があるわけではないと仮定すると、1日でTSS700の回復は難しい、とする。(仕事もあるから)
従って、一回の就寝で得られる回復量もプロより低い。
単純にTSS700を四回の就寝で回復させているとすれば、プロは1日辺りTSS175回復していることになります。
アマチュアの場合なら、TSS100〜150といったところだろうか。
(あくまで体感の話だ)
就寝前三時間以上は何も食べない、適切な睡眠時間をとる、添加物を極力控えたクリーンでバランスのとれた食事、などもプロは気をつけて行っているから、もっとTSS回復量を上げたい場合は日常のあらゆることに気をつける必要が出てきます。
最近、あまりトレーニングに出掛けたくない理由が、自分でもわかってきました。
単にオーバートレーニングだったのです。
上記したとおりの計算であれば、私の場合、TSS700を回復させるには7日、一週間もかかることになるからです。
恐らく、7月中の疲れが暑さと共にいま来ているのでしょう。
このまま練習を続けていたら、夏風邪などを引いていたかもしれません。
罪悪感はありますが、酷暑の中の練習はトレーニング効果としてもあまり期待できないんじゃないかと薄々感じていたので(長時間トレーニングできないため)今回の検証はあながち、意味のないものではないかもしれません。
まとめです。
個人的体感によるTSS回復量と、1日のTSSを考えて見ましたが、大事なことを忘れていました。
心のTSSを換算した1日の上限TSSは1000になるんじゃないか、ということです。
肉体が疲れれば、心も疲れます。
プロのようにトレーニングによってTSSを700獲得し、仕事もこなさなければいけない社会人がいるとして、そこからさらに追い込むとしたら、あと300。
それが身体が保つ限界ではないでしょうか。
私のように慢性的にTSS700付近を彷徨っていると、次第に無気力的になり、練習を休みがちになり、やがて筋肉は衰えていく。
TSS1000を越えると病気になる、と言ってしまっていいかもしれません。
慢性的にオーバートレーニング気味になるのがアマチュアだ、と言われているのを聞いたことがあります。
普段、トレーニングによるストレススコアを管理しているつもりでも、仕事や家庭でのストレスを加算し忘れるとTSS700は、あっという間に越えます。
ですから、プロは仕事のTSSも含めた数値、TSS1000を指標に、アマチュアは仕事も含めたTSS700を限界点として、トレーニングに励むのがよいのではないでしょうか。
覚醒状態で何かをしているだけで、人は疲れるものです。
回復には睡眠を。
そしてよいトレーニングの後には、美味しくて身体に良いものを摂りましょう。
もちろん、心を回復させるための時間と、そのための工夫も。